浦野 健次郎×織笠フリー対談

 

今回は、フランスアルザスでの修行時代に同居をしていた健次郎さんをゲストにフリー対談していただきました。

黒澤 知代×織笠フリー対談

織笠:里いも届いた?

浦野:あぁ届いた届いた。早速使ったよ、ありがとう。

織笠:(シェ・ウラノで食事をした後)繊細な料理が出るのかなと思ったら意外とガッツリ系なんだね。

浦野:あぁランチはね。

織笠:美味しくいただきました…。最近は自分の料理に対して意識していることはあるの?

浦野:うーん、和も洋もあんまり意識しないようにしてるね。でも震災以降、やっぱりクラシックの料理を見直したよ。お客が急にキャンセルになって来なかった時期にね。フランス料理のクラシックってやっぱりすごい、保存食になるものが結構多いんだよ。

織笠:確かに!

浦野:なんだか原点に戻った気がしたよ。もう一度考えなおして、本当に必要なものとか、美味しさを考えるのにいい機会だった。幹一は大変だったかもしれないけど。

織笠:停電になったからなー。3日くらいはクローズしたよ。でもその時、余ってる小麦とイーストでパンを焼いたんだ。パンを必要とする人が沢山いたな…。やっぱり俺もしっかりクラシック見直そう…。

浦野:今は当たり前のように色々なモノがあるけど、昔みたいにシンプルな美味しさってなかなかないよね。だから最近は色々飾らないで生クリームだけでもいいのかなと思ったり、パイだけでも本当の美味しさって表現できたりするし…。

織笠:そうだね、俺も今、クロワッサンは意識してやってる。

浦野:新しいものばかり求めてもね。

織笠:そう、結局はクラシックに戻ってくるんだよな。

織笠:アルザス料理は作る?

浦野:あまりないな。旨いものを作るために基本的なソースは今も応用してるけどね。でも懐かしいなアルザス!幹一は何か色々やってたよね。

織笠:評価はされなかったけどね…。

浦野:されなかったけど色々やってたよ。一生懸命だったよね。幹一は細かい仕事好きだし、ラッピングとかしっかり勉強してたしね。チャラいなと思ってたら案外しっかりしてて…俺より年下だけど。目的持って行ってたからね。

織笠:でも性格はおおざっぱなんだけどね…。

浦野:当時は自分のことで精一杯だったじゃん。幹一の人懐っこさがね、いいんだよね。

織笠:フランス語は話せないけど、適当にでも強引に伝える方だったからな…健次郎さんはコツコツ頑張ってたよね。

浦野:靴盗まれたりさ、ラジカセ盗まれたり(笑)あの頃はやけくそになってたよ。俺たち一緒に住んでても、幹一は朝早いからあんまり時間合わなかったよな。でも、おまえあれだろ、朝自転車のライトがついてなくて警察に捕まっただろ。

織笠:朝3時頃出勤だったから不審に思われたんだよね、パスポート見せろとか…。でもそのうちに挨拶までするような仲になったけど…。

浦野:確かおまえ、お惣菜を作るのに朝早く行かなきゃいけなかったんだよな、その後お菓子作りもやってなー、絶対眠たいのに、仕事後もふらふら歩いてるのが好きなんだよな。

織笠:俺は朝早いけど、健次郎さんはレストランだから夜遅く帰ってきてたもんな。…でもやっぱりあの頃が一番おもしろかったな!

浦野:今思えば、何も考えてない20代だったけどね。

織笠:パリじゃなくて、アルザスだっから良かったのかも。何もないところがね。

浦野 健次郎
Kengiro Urano

1963年東京都生まれ。1989年渡仏し、アルザス「ジャンシリンガー」で修業中、アルザスコルマール市にて織笠と出会う。帰国後、銀座「ペリニィヨン」にて'95年よりシェフを8年間勤める。2003年フランス料理店「シェ・ウラノ」をオープン。