軽石 敏裕 ×織笠フリー対談

 今回は、「展勝地・展勝地レストハウス」常務の軽石さんとフリー対談していただきました

軽石 倫史 ×織笠 幹一フリー対談

織笠:餅の人気ナンバーワンの味は何ですか?

軽石:支持されているのは…一番はやっぱりあんこ餅ですかね。他に“銭もち”っていう小判型の餅がありまして。昔、じいちゃんばあちゃんが餅をついたら、でっかい桶の中に保存していたっていう餅を再現した当店の看板商品ですね。

織笠:なるほどね。実は、フランス菓子をコンセプトにしていると、地産地消って一番扱いづらい素材なの。フランスのものをまねて作るとなると、ここと風土や気候が全然違うから、地元の食材だと味に深みが足りなくて、理想のお菓子作りができないんだよね…。

軽石:こういう機会があったら聴いてみたいと思っていたんですけど、どうしてフランス菓子なんですか?こっちにはこっちの文化があって、それを継承するには口伝えでも、文章を見ながらでも、教わりながらでもできるじゃないですか。なんであえて文化が違うところを表現しようと思ったのかなと思って…。

織笠:単純に俺、箸が正しく持てないんだよね(笑)いや、それは後の話なんだけど。初めて出会ったのがフランス菓子だったのよ。フランス菓子も洋菓子も“ケーキ”っていうくくりだけど、大きく違うのは、フランス菓子は和菓子と同じで、歴史や風土、向こうのカルチャーから生まれているんだよね。お茶の世界から出た和菓子と合い通じるものがあると思う。我々の先輩方が西洋文化を学びに出掛けて、日本に帰ってきてから作りあげたものが洋菓子。だから洋菓子は日本の文化。でもこれからは、フランス菓子でもない、洋菓子でもない、“織笠菓子”というものを作っていかなきゃならない段階なんだよね…人生のまとめとしてね…。

軽石:今は、技術的なことはどんどん上がっているじゃないですか。学校で教えていることのレベルも高いし。

織笠:そうそう!今の若い子は俺らが10年かかって学んだことを2年で覚えるもんね。スキルの部分はすごいけど、モノの見方とか考え方は厚みを持って行かないといけない部分だよね。色んな経験しなきゃないし、失敗もしたり、色々やらかして覚えることもあるだろうし、私生活でも。最後は引き出しが多い方が勝ちだなって思う。同じ技術を持ってるんだったら、色んなことを経験した人の方が勝つなって。

軽石:継続することが気付きにつながったりしますよね。そば打ちをしてる中で、毎日、温度と湿度を測って水の量を変えるんですけど。同じ粉なのに、季節の変わり目になると触感がガタンと変わるんです。その時に自分の中で、あぁ季節の変わり目に入ったんだなって感じるんですよ。温度計にも湿度計にも出ない季節を肌で感じられる…そばを打ってる人にしか分からない楽しみですよね。一人で優越感を味わったりします…笑

織笠:うちらで言えば生クリームだな!四季に通じて脂肪分の変動があったりするし…。

軽石:調理の仕事をしながら、美味しいものを作るっていうのはどうゆうことなんだろうってずっと思い続けているんです。これはもう永遠のテーマだと思うんですが。こうじゃなきゃだめだっていう枠を超える域まで行くんだろうなと思います。

織笠:柔軟性も必要だよね。その土地ごとに違う文化が生まれたり、同じメニューでも作り方が変わるのは、風土や気候の問題だったり、先人の知恵が折り込まれているんだよね…。

軽石:調理に携わっていると、食材一つひとつを見た時に、コレが食べられるって分かるまでに、どれだけの何人の命がかかっていたんだろう…って思いますね。誰かがコレを食べて死んじゃったって、だからコレは食べられないんだねって。その犠牲が動物だったかもしれないけど。食べることに対しての歴史や、多くの命の犠牲のもとに、今の食が成り立ってるんですよね。

織笠:すごいことなんだな。生命のスパイラルは神秘的だよね。

軽石:たまに、食材にここまで手を掛けていいのかな、って迷う時があります。織笠さんのように技術があればいいですけどね(笑)これ以上手を掛けたら、素材がもともと持っている良さがなくなるんじゃないかって。

織笠:お菓子作りはサイエンスなんですよ。“小さな化学者の目”で分量をしっかり守るとか、焦げていないかとかチェックしたり、“ちっぽけな詩人の頭”で創造力を掻き立てるとか、あとはやっぱり体力…“土方以上の体力”がないとお菓子づくりはできないっていつも言っているんだよね。

軽石:なるほど…やればやるだけおもしろい仕事ですよね。お菓子づくりも料理も、本当に興味がなかったら出来ない仕事だなと思いますね。

ゲスト
プロフィール
軽石 倫史 北上川・和賀川との合流地点を望む舟運時代の米蔵をイメージした展勝地レストハウス。創業以来、郷土北上地域の多彩な食材に感謝し、身土不二(シンドフジ)という先人の知恵を大切にした臼杵つきを毎日ついている。地域の文化を「いま」できる工夫と、「次へ」の人々へつなぐ「食笑顔」の提供を目標に日々営業中。

展勝地レストハウス 北上市立花14-21-1 TEL:0197-64-2110